「……お嬢様はちゃんとフェンリルの話を聞いていましたか?」
「聞いてたよ」
「彼ははっきりと、『女よりも肌が白い』と言いました。この時点で彼の吸血鬼が男であると気付くでしょう」
シアンは再びため息を吐く。うぅぅ、洞察力がないのかな、私。
「でもでも、恋人だとは限らないよねっ?」
「そうですね〜」
「それに、靴だけで判断はつかないよ。私は」
同じ靴の人だっているわけだし。
「いえ、間違いありません。家の奥から森の匂いに混じって、あのフェンリルの匂いもしました。これはもう決定打です」
だったら吸血鬼さんか。
「じゃあもう捜す意味ないね。断られちゃったし。どこかでお昼食べて、修練でもしてよっか」
結局明日に引き延ばしかぁ。
とぼとぼと道を歩いていると、目立つ黒いのが蠢いてるのが目に入った。
「お、リオンじゃねぇか。フェンリル退治は上手くいったか?」
カイルが、何と小さな少女と一緒に歩いていた。真っ黒なカイルと対照的で、少女は真っ白。
丁度肘辺りまでの白い髪に白い肌、純白のドレスに身を包んでるけど、目だけが赤く、後は真っ白なだけに異様に目立つ。
そして、真っ黒なレースの傘を差していた。
あれ、それより、今日は城内勤務なんじゃなかったっけ。


