『あいつは形こそは人間だが、中身はまるで別のモノ。貴様らのいう、吸血鬼というヤツだ。




並外れた体力、賢さ、強さを持つ。我らと言葉を交わせれば、貴様らの人語も操れた。




食事は主に森で取れる果物や山菜らしい。




あいつは森に捨てられ、森で生きてきたというのに、国を愛してやまない。理由はわからんが、とにかく国が好きらしい。




実に人間らしいじゃないか。度々素顔晒して国に入り浸るしな。




己はあいつに救われたこともある。だから協力してるんだ』





「貴方にメリットはないのに……?」





『確かに利はない。だがな、人を裂き喰らうのは中々に愉快だ。それに、あいつを死なせたくはないのだ。




あいつは国のために、自分が代わりに汚れるなどと言った。泣ける話じゃあないか。




でもなぁ……。殺めてるのが仮にあいつだったとして、討伐をしに軍勢が来たらあいつはどうすると思う?




そりゃ、逃げるさ。が、決して国の傍を離れないだろう。そして、自分を殺しに来た人間共を殺しはしないのだろう。




馬鹿だろう?




愚かだろう?




己はあいつのそんな所が好きでね。やけに綺麗な瞳もしてる。だからあいつを死なせたくはないのだ』