私達はそれぞれ三方向にわかれて避ける。私は右に、ティスは左に、そしてシアンは真上の木に。
「待って、フェンリル!私達はあなたと話がしたいの!」
私の呼びかけも虚しく、フェンリルはパッと見一番弱そうな私に狙いを絞った。
いやまぁ、確かに私は攻撃に関しては弱いけど!防御なら一流なんだからっ。あと回復もね♪
フェンリルが繰り出してきた爪を、バリアを張って防ぐ。淡い緑色に光るそれは、フェンリルの爪を1つ剥がした。
それを見て、フェンリルの表情が少し険しいものになった。
今のバリアは第5級の初級者向けとはいえ、力のある者が使えば第3級くらいまでパワーアップできる。天才なら第1級にまで及ぶのだ!
残念ながら私はそこまでできないけど。
「お願いフェンリルっ!動きを止めて!私達は何故あなたが人を襲うのか知りたいの!」
そう言うと、フェンリルは僅かに動きを鈍らせた。
『……貴様らは何者だ』
低く地を這うような声が聞こえた。
「私達は、あなたの討伐を依頼された退治屋。だけど命を奪うのはあまり好きじゃないの。だから、あなたと話がしたい」
フェンリルは何を思ったのか、豪快に笑い始めた。その笑い声が辺りに木霊する。
……笑い、声か……。


