「っは〜。腰が痛いよぅ」
カーザシア付近の道端で馬車を降りたら、見事に腰を痛めてた。そりゃ、何10㎞もある距離をガタゴトいう馬車にのってれば、腰だって痛くなりますよ。
「私は頭が痛いんですがね……。あ、こぶできてる」
「あぁぁ、腰痛い!」
「無視ですか、そうですか。……悲しー!」
「このくらいで痛めるんですか。貧弱ですね」
後ろからため息交じりに呆れたような、馬鹿にしたような声が聞こえた。
「2人と一緒にしないでよ。こちとらか弱い女の子なんだから」
貧弱なのを認める代わりに、私よりも背の小さい従者を見下ろしてやった。
何かあるごとに悪態ををついてくるこの生意気なチビは、私に付いてくるのが不思議なくらい、私を低評価する。
「お嬢様は十分お強いですよ♪」
高身長の従者が、微笑みながら私の頭をよしよしと撫でた。こっちがティスで、生意気なチビの方がシアン。
言うなれば2人は、アメとムチ。
「ありがと、ティス。それじゃあ行こっか」


