落ちていく。
堕ちていく。
闇の中を、滑るように、ただ深く。
真っ暗で何もない。
落ちて、堕ちていく感覚だけが私を支配する。
何も聞こえない。
風の音も何もない、無音の世界。
………耳が痛い。
耳を塞ぐと何か聞こえた。パッと離して耳を澄ませば、また元の無音に戻る。
もう一度塞げばまた聞こえた。
……笑い声、だ。
これは外側から聞こえるんじゃない。内側から聞こえるんだ。
奥から木霊する、誰かの笑い声。反響して、笑い声が重なって混ざり合う。
気味が悪いのと同時に、心地良い。
これはきっと他の誰でもない、私自身の笑い声。
私が私を嗤う声。
私が私を責める声。
落ちていく先には何があるんだろう。そもそも闇に底はあるんだろうか。
闇へ、闇へ、ただ深く、ただ闇へ。
吸い込まれるように、ただ闇へ。