☆おまけ☆
〜リオンが迷子〜
「…………全っ然いない…………。さっき確認した時は確かにここだったのに」
僕は探知魔法を使ってお嬢様を捜す。お嬢様は僕のいる位置から大分南に離れていた。
……何で大人しく待ってられないんだ、あの人は。
確かに探知魔法はお嬢様の方が断然上手いけど、方向音痴だから僕のところまで正しく辿り着けるわけがない!
つまりお嬢様が立ち止まって、僕が行くというのがどう考えても一番効率がいい。
ただでさえ探知魔法の苦手な僕は常にかけた状態にできないから、一定時間置きでしか使えない。
なのにお嬢様が動くことによって、確認した位置がズレてしまう。
わかるかこの悪循環!!
そしてきっと見つけた時には露骨な嘘を吐くんだろう。
といつよりも、迷子はこれが初めてじゃないのに、どうしてこうも学習しないのだろう。
前になった後も、頼むから動かないでくれって散々説教交じりに言った筈だよな?
言ったんだよ!
………頭痛してきた。
その後散々走り回って、見つけたのは1時間後だった。
見つけられた理由は、お嬢様が捜すのに疲れて、ベンチで休憩してたから。
………本気で殴りたくなった。
しかも、
「あのね、違うんだよ。何か俊足のハゲたおじさんが追いかけてきてね、必死に逃げてたの。
それでね、何か知らないけどメイド服持ってハァハァ言いながら追ってくるんだよ。
何とか役人さんのところまでにげてね、やっと解放されたんだよ。
あのね、だからね」
僕はお嬢様を思いっきり睨んだ。容赦はしない。
「すみませんでした。私が悪かったです。だから怒らないで」
ぐすっと目の端に涙を溜めながら、ブンブンと頭を下げる。最初から素直に謝ればいいものを……。
僕はため息を零す。あぁ、ため息が癖になってる。
「……今度は離さないで下さい」
お嬢様の顔がパァッと明るくなる。何て単純。
「うんっ!」
……今度から単細胞って呼ぼうかな……。
うん、いいかもしれない。
僕は人知れず笑みを零したのだった。