「あぁ、ああぁ、た、助けて、助けてぇっ!!」
前を見ると、片足をもがれた女王が、僕達の方へ縋るように這いずり寄ってきた。
出会い頭とは全く違い、その顔は恐怖で満ちていた。化粧も髪のセットも何もかも崩れて、最早女王の風格はどこにもない。
その女王の後ろには……。
「ふふ、どうして逃げるんですか?赤がお好きなのでしょう?折角私がもっと赤く染めてあげようとしているのに」
お嬢様の姿をした、あいつがいた。口調は丁寧だが、性格や纏う雰囲気は狂気に満ちている。
お嬢様の中に潜む、もう1人のお嬢様。それがあいつ、シオン。……かつての、お嬢様。
「嫌、嫌よ、死にたくないわっ!!」
女王の言葉に、シオンは微笑みながら首を傾げる。普段なら可愛い仕草も、『シオン』と返り血で余計に怖い。


