「……何も起こらないわよ?」




私はあえて黙る。私が仕掛けたものは、ちゃんと効いてるみたい。よし、後は……。



私は床の抜けてない部分をそぅっと歩いて部屋の外へ出た。よし、脱出成功だねっ。




私が仕掛けたものは、幻影魔法(イリュージョン)。魔法色は透明だから、いつ発動したかなんてわからない。



私は私の幻影を作り出して、私本人の姿を皆の視界から消して部屋を出ただけ。



しかも作った幻影は本物と同じように振る舞うから、手練れや鋭い人じゃないと、そうそう気付かれるものじゃない。




しばらく幻影は消さないでおこう。




私は走り出した。彼女の元へ。いつもは方向音痴なのに、今日は何処に行けばいいのかわかる。というより、導かれてる?




……何、この服。動きにくい。ドレスだから仕方ないけど。かといって脱ぐわけにもいかない。そんなことしたら私は変質者になってしまう。





走り続けて、謁見室らしき部屋に出た時。