「え?最後何か言った?ごめん、聞こえなかったよ」
「い、いえいえっ!何も言っておりませんとも、えぇ」
どこか挙動不審のティス。まぁ、無理矢理問いただしても、どうせ下らないことだろうからいいや。
「……あら?何か、とても要らない付属品があるわ。何かしら、あれ」
背後から女性の声が聞こえた。慌てて振り向くと、豪奢な赤いドレスに身を包んだ、華奢な女性がそこにいた。
わぁ、綺麗な人。髪も赤いし、瞳も赤いし、ヒールも赤いし、今度は赤ずくめか。
彼女は近付いてきて、ティスの顔を、悩ましげにしげしげと眺めた。それはもう、上から下から背後まで、余すことなく。
そして、残念そうにため息を吐いた。
「私の好みじゃないわ」
………いや、誰も貴女の好み聞いてませんが。ティスも同じように思ったのか、冷ややかな眼差しを向けていた。
紳士的なティスとしては、大変珍しいことであります。


