「っ、嫌ああぁぁっ!!」
私は跳ね起きて左に転がる。出口に近い方へ。
「キヒ……」
声の正体を見た瞬間、私の身体は止まってしまった。頭が考えることを停止してる。
月明かりに照らされた姿は、何ともおぞましいものだった。かろうじて男性とわかるものの、最早生きてる人間とは言えない。
目玉はこれ以上ないくらい大きく見開かれて、涙のように血が流れてる。口は端がブチブチ切れて、気持ち悪い。何より鼻が削ぎ落とされてる。
怖い怖い怖い、動けない。誰か、誰か助けてっ。誰か、シアン、ティスっ!!
「ウアァァァッ」
奴は手を大きく振り上げながら向かって来た。指はボロボロ、爪が剥げてる。骨も見える。
ば、バリアを!!私は慌てて薄緑に輝くバリアを張った。
のに関わらず、奴はバリアをスルリと抜けた。どういうこと!?
「っ、あぁっ!!」
降り下ろされた腕が直撃する。その衝撃で、壁に飛ばされてしまった。痛、腕軋んでる。
何でバリアが効かないの。普通のグールじゃないの?それにシアンもティスも来ないなんて……。
同じように襲撃を受けてるか、気付いてないか。あの2人が気付かないなんてあるわけない。
どうしよう、どうしようっ。反撃しなきゃ。倒さなきゃっ。


