ふと前方に、何やら異様に目立つ黒いモノが動いてるのが見えた。
……あれは……。
「お、今朝のちっこいお嬢ちゃん。また会ったな」
「……今朝の嫌味な人……」
またちっこいって言ったよこの人。私は小さくない、普通だ!
「あり!?何でオレそんなに低評価っ?ま、いいや。ところでどうしたよ。んな膨れっ面して。更にちっこい彼氏に意地悪でもされたか?」
「…………ちっこい?」
ちっこいという言葉はシアンにとって私以上に禁句。シアンから周りのもの全てを凍らさんばかりの冷たいオーラが発生した。
気付いてないのか気付いてるのかわからないけど、黒い人の表情は変わらない。
ていうか、
「彼氏じゃないよ、シアンは」
「違うのか?じゃあ何で手なんか繋いでんだ」
「そ、それは……。機密事項で」
まさか私が方向音痴だからだなんて、恥ずかしくて言えない!
「機密て……。どうせ方向音痴だからとかそんな感じだろ」
「何故にバレたし!」
わかったとしても、そこは黙っておこうよ。デリカシーのない人だな。


