「守本…さん?だよね」


顔を上げると、スラッとした女の人が立っていた。


「そうですけど…」


「奏、知ってる?」


「え…」



奏って…、奏くん?



「あたしの彼氏なんだけど。奏」


奏くん…彼女いたんだ…。
だから、来れるわけないか。



「アンタが何の病気かしらないけどさ。
アンタウザすぎ。消えて」


バン、と肩を押されて、後ろに倒れた。


「あたしはそれ以上嫌な思いをしたんだから。当然でしょ」



コツコツとヒールが鳴る音だけが聞こえる。