財布の中には、十円が一枚しかなかった。


一枚だけじゃ…話続かないなぁ…。



百円玉をいれ、受話器をとった。



呼び出し音が、むなしく鳴っていた。

もう寝ちゃったかな。



プルルルルルル…─



起こしちゃ悪いし、また明日電話し────…

『───はい』