風が吹いてきて、 草木がサワサワと揺れる。 その風と一緒に、 声が聞こえた…―――――……。 「夏帆…っ」 気のせいだと思って、 だけど、 確かにあたしを呼ぶ声が聞こえて…。 後ろを振り向いて、 誰かを確認するまでもなく、 後ろにいた人に抱きついた…。 「奏くん…っ!!」 「久しぶり、夏帆。 苦しくないのか?」 「大丈夫だよっ…、もう全然苦しくない!」