そんな悠長なことを、あいつが手術室を出るまで呑気に考えていた。 隣に座っていた陽太は、目をこすりながら、眠いのを我慢して起きていた。 怖いのを我慢しているようにも見えた。 「陽太…夕飯食べるか」 「ううん…、姉ちゃんと食べるからいい」 「ホントに姉ちゃん好きなんだな」 「…べ…べつに。姉ちゃんを一番好きなのは、奏だろ?」