ワケあり!

 ドアが開くと、島村がいた。

 相変わらずの黒い服に白衣。

 その後ろに。

 きっちりと背広姿のボスがいた。

 ああ。

 少しやせてはいたが、身なりをきちっと整えた、いつものボスの姿に、絹はほっとする。

 お久しぶりです、とか。

 ご迷惑をおかけしました、とか。

 最初にふさわしい言葉が、いろいろ頭を横切っていく。

 でも。

 それよりも一番最初に。

「『高坂絹』は、まだ生きていますよね?」

 再会には、まったくふさわしくない言葉が出ていた。

 ボスと島村が、一瞬顔を見合わせる。

 怪訝な目で。

「本当に、脳外科の手術はうまくいったのか?」

 島村が──自分の頭の横で、指をくるくると回して見せてくれた。