ワケあり!

「お願いします」

 間違いなく、相手は絹よりは上。

 上の人間は、手加減の仕方を知っているから、彼女にとってもやりやすいのだ。

 身体を温め、絹はアキと向かい合った。

「合わせますから、好きなように打ち込んでみてください」

 大きく見える人だ。

 ガッチガチのゴッツゴツ、という身体ではないのだが、軸がしっかりとしている。

 すぅっと、息を吸い込む音でさえ、すぐ側にある気がする。

「胸を借ります」

 崩しの格闘技、打の格闘技、足の格闘技。

 ひととおり、身にはつけている。

 ただ、余り正々堂々としたものはなかった。

 真正面まで迫っても、アキは微動だにしない。

 ビュッ!

 右足を、前に蹴り出した瞬間――アキは消えた。

 真横に移動したのだ。

 宙に浮いた脚をひねり、そのまま横蹴りに切り替える。

 ずどん、という音を聞いた。

 アキがその脚を、がっちりと腕でガードしたのだ。

「……」

 彼女が、何とも言えない顔で――絹を見た。