ワケあり!

 昼食タイムに将が加わるようになって、確かにトラブルは減った気がする。

「そろそろ、梅雨明け宣言、出るんじゃないかな」

 まだ雲はあるが、雨は減ってきた。

 将と二人でランチに向かう最中、絹は空を見上げた。

 七月。

 絹の誕生日が間近だ。

 このまま梅雨が明けるなら、もしかしたら誕生日は星が見られるかもしれない。

 誕生会は、絹と京の誕生日の中間の土曜日になった。

 広井邸でベーシックな集まりかと思いきや、昼から移動を開始して、素晴らしい星の観測会をしようと提案されたのだ。

 知り合いのペンションの近くだから、そこに泊まるのだと。

 さすがは、星好き一家。本格的だ。

 これだけ大がかりな計画だから、勿論チョウが絡んでいる。

「絹さんも、保護者が一緒の方が安心だろうから、行けるか聞いてみてよ」

 素晴らしい申し出に、絹は二つ返事でオーケィを出したかった。

 しかし、一応は「聞いてみるね」と、保留にしておく。

 今頃、「チョウとお泊まり!」と、ボスが小踊りしているに違いない。

 また、日本の気象衛星が乗っ取られるのか。

「京さんへのプレゼントは、何がいいかなあ」

 ボスに抜かりはないだろうが、絹は悩みどころだ。

 何か形に残るものを渡して、見るたびに彼女を思い出してくれると好都合に思えた。

「なんでも喜ぶよ」

 将が、アテにならないことを言う。

「京さん、気難しそうだから…悩むわ」

 将や了は、何でも喜んでくれそうなのだが。

「絹さんからもらえるなら、何だって喜ぶって」

 言葉に微かなひっかかりを感じて、絹は彼を見た。

 その、微妙な困り笑いはなに!?

 また、将はいい人になろうとしているのか。