「ジェットコースター乗る?」
「いやいやいや、絶対無理!!」
「アハハッ。だよなぁー」
「もうっ、ハル君の意地悪っ!!」
最後だってこと、忘れているわけじゃない。
だけど……
この時間を楽しみたくて。
先生と言う立場じゃなく、いち大学生として隣にいてくれるハル君。
この場所で、久々に“ハル君”って呼ぶのは何だか照れ臭くて、だけど少し寂しい。
「あれっ? もしかしてハル君怖いの?」
「……まさか」
「じゃあ入ろうよー。……って、やっぱ怖いんじゃん」
おばけ屋敷の前で足の動かなくなったハル君を見て、思いっきり笑ってしまった私。
「……やっぱジェットコースター乗ろうか」
「あぁぁっ!! ごめんなさい、それだけはーっ」
「プッ……」
「アハハッ」
そんなやりとりをしながら、二人顔を見合わせて笑い合う。
こうしていると、私たちも恋人っぽく見えるかな。
「ん? どうした?」
「何でもなーい!」
目線を逸らして、先に走りだす。
ハル君のこと、知らないことがまだまだたくさんある。
こうして一緒にいると、一つずつハル君を知っていく。
その度に……
愛しく感じてしまう。
こんなに人を好きになるなんて、思いもしなかった。


