暫くの間、
時間だけが静かに流れていった。
相変わらず苦しそうできつそうな、見ることさえもつらい状態のハル君。
何もできない無力な自分が悔しくて。
苦しみを変わってあげることができればと思って。
ただひたすら、傍にいるだけだった。
熱はまだ下がらない。
少しだけ気を許してくれたのか、ハル君は苦しそうにしながらも眠りについた。
何か私にできることはないかな。
ハル君の寝顔を眺めながら思う。
手を抜いてそっと立ち上がり、食べおわった食器をトレーにのせて部屋を出る。
空っぽのお皿。
米粒一つ残さず食べてくれたハル君。
お皿を洗いながら、幸せを噛み締める。
誰かの為に何かを作って、それを残さず綺麗に食べてもらえる。
当たり前のことかもしれないけれど、そんなことが嬉しかった。
そんなとこに惹かれていくんだ。
気分が上がった私は、鼻歌なんか歌いながら蛇口を閉めて、そしてふと思い出した。
「そういえば……っ!!」


