恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜


虚ろな目。

真っ赤な顔。

ドアを開けたハル君は、明らかにいつもと違う様子で、



「ちょっとハルっ!! 病院行ったの?」



そんな望さんの言葉にさえ、ゆっくり頭を横に振ってふらついた足取りで部屋に入っていく。

私の存在にさえ気付いていない。


居心地の悪さを感じながらも、望さんに促されて部屋に入る。

綺麗に片付けられた部屋の中に、高級そうな家具やインテリアの数々。

見渡すだけでも四部屋ぐらいあって、一人で住むには……ううん、家族で住んでいたとしても広いぐらいの、そんな家。


連れてこられたキッチンは、まるで使っていないみたいにピカピカに輝いていて。

そこにドサッと買い物袋を置いた望さんは、私の分も受け取って中身を広げた。



「ハルね、一年に一回ぐらい高熱出すんだよね。その度に亘と看病に来るんだけど。
あっ、これ冷蔵庫に入れとくね」



まるで自分の家のように、慣れた手つきで冷蔵庫を開けて果物類を中に入れ、



「あいつ……いい年して注射とか点滴が嫌いで、どんなにひどくなっても病院行かないんだよ」



ため息をつきながら、その他の物はシンクの上に綺麗に揃えて並べた。