「一体何買ってきたの?」

「あ、えっと……風邪薬とかりんごとか、おかゆの材料とか」



ハル君に良くなってほしくて無我夢中で買ったそれらを、レジ袋を広げて眺めながら答えていると、



「ハルのこと本当に想っているんだね。誘ってよかった〜。貸して、一つ持つから!」



望さんは笑顔を浮かべて、さり気なくレジ袋を一つ持ってくれた。


見慣れない景色の中、望さんについて歩いていく。

今からハル君に会うのだと思うと、緊張からか胸の鼓動は早くなっていく。


そんな中で会話をする余裕もない私に向かって、望さんは振り向き様に話しかけてきた。



「余計なおせっかいかもしれないけど……」



少し顔を曇らせて足を止める。

沈黙の中、吹き荒れる風が胸を騒めかせる。

乱れる髪を耳にかけ、伏せ目がちにその場に佇む望さんを凝視する。


何を言われるのか。

その様子から良いことなど想像できない。

内心ビクビクと怯えつつ、平静を保って続く言葉を待つ。



「ハルに気持ち伝えないの?」



そして、ゴクリと息を呑んだ。