もう、いいかげんどちらかに決めないといけない。

二つとも得るなんてムシのいい話はないし、中途半端な状態が大切な人たちを傷つけた。

ここで選ばなくてはならない、そんな局面に差し掛かっているんだ。


実際、颯平に心が揺れ動かされたのも事実。

だから、颯平のことハル君より好きになれると信じて……。

家庭教師をやめて、ハル君と一切会わないようにするか。


もしくは、例え叶わない想いでも、今の自分の気持ちに正直に。

颯平と別れてハル君を想い続けるか。


答えは二つのうち、一つ……。


ベッドの上から体をガバッと起こし、部屋を出て歩いていく。

洗濯物の間をすり抜けて手摺りに手をつけると、ベランダには陽気な日差しと生暖かい風が吹いていた。


見下ろす町並みは明るくて、見上げる空は澄み渡っていて、その情景に吸い込まれるようにひたすら眺める。


私の心が晴れるのは、

いつなんだろう。

私が答えを導きだして動きだすのは、

いつなんだろう。



「教えてほしいよ……ハル、君……」



こんな時に求めてしまうのは、結局ハル君の言葉。