出るに出られない状態だけど、
「優美……もしかして、紗夜香も一緒に?」
出ないといけない状況に追い込まれて、おずおずと腰を上げて優美の隣に姿を現す。
「紗夜香……」
「ご、ごめん。覗き見するつもりはなかったんだけど」
き、気まずい……。
人の告白現場を覗き見していて、ましてやそれが颯平とマネージャーで。
誰もが言葉を失っていた。
後ろめたさから、うまく目を合わせられない私。
私たちの出現に、戸惑い立ち尽くす颯平。
マネージャーの返答を待ち、腕組みする優美。
状態を把握できていないようで、呆然としているマネージャー。
静かに、時が流れる。
風に揺られカサカサと音を立てる木々。
月が四人を照らし出す。
今の現状とは打って変わって、月は明るく私たちを照らしていた。
最初に我慢の限界が来たのは優美だった。
「ねぇ、好きになるのは勝手だけど。人のこと悪く言うのは間違ってない?」
再びマネージャーに詰め寄る。
一歩一歩、二人に近づいていく。
そんな後ろ姿を眺めるしかできないでいると、ようやくマネージャーがその重たい口を開いた。


