その場に立ち上がったマネージャーを振り返って見る颯平。
ドクン、ドクン――。
悪い予感が頭をよぎる。
そう、こういう時の感って当たるものなんだ。
「そんなに彼女が好きなの?」
「あぁ」
「彼女の気持ちが颯平に向いていなくても? 他に……」
ドクンッ――。
胸を激しく打ち砕かれたような、そんな感覚に体の動きが止まる。
息の仕方さえ忘れるほど、苦しくなる。
お願い、これ以上
何も言わないで。
何も聞かないで。
……これ以上、颯平を傷つけないで。
「ちょっと!!」
それは思いもよらない言動で、制止する時間さえ与えてくれなかった。
茂みからガサッと音を立てて立ち上がった優美が、もの凄い剣幕で声を張り上げていた。
「……誰?」
「えっ? 優美!?」
怪しげにこちらを伺うマネージャーと、まるで化け物でも見たかのように、驚いて目を丸くしている颯平。
「さっきから黙って聞いてたら言いたい放題」
「つーか、優美、何でここに?」
「私たちが先にいたのに颯平たちが来るから、つい隠れちゃったんじゃない」
「私、たち?」
「そうよ! ちょっと、そこのあなた!! あなたに紗夜香の何が分かるって言うのよ?」
マネージャーを指差して、優美は啖呵を切った。


