颯平たちは気付いていないけれど、今、この公園には四人だけ。
前の道路は車も滅多に通らないし、周りの民家も明かりさえ点いているもののひっそりとしている。
辺りは閑散としている。
だから、少し離れたこの場所でも聞こえてくる。
「ごめんね、こんなとこまでついてきて」
「いや……そんなことより、話って? 元彼とまた何かあったとか?」
二人の話し声が、一字一句聞き逃すことなく聞こえてくる。
「ううん、元彼とは本当に終わったの。颯平のおかげだよ、ありがと」
もし、マネージャーの気持ちを知らなかったとしても、今から何が起きるのか容易に想像がつく。
それは、隣にいる優美も同じようで、
「ね、これってもしかしてもしかすると、告白?」
「多分ね。……彼女、颯平のこと好きって言ってたし」
二人に気付かれないように、私も優美も声を潜めて喋っていた。
だけど、もし小声で喋らなくていいのなら、優美からもの凄い剣幕と大声で、詰め寄られていたに違いない。
「ちょっとどういうこと?」
「何が?」
「だから、好きって何で知ってるの?」
「あー……宣戦布告、された」
「マジで? それ、かなりの曲者だね。ってか紗夜香はそれでいいの? 邪魔するなら今だよ!!」
そんなやりとりをしている間も沈黙だったマネージャーが、颯平の名前を呼んで空気が変わる。
優美の問い掛けには答えず、息を呑んだ。


