「……俺も、好きだよ」



あんなに大胆なことをする癖に、照れながら言う姿はやっぱり可愛くて、頭を撫でたくなる。


きっと、ずっと。

こんな関係は続いていく。

穏やかで心地よい、
安らげる時間が……。

そう思っていたのは、私だけだったのかもしれない。



「な、明日さ」



それは本当に急に。

バカ正直で真っ直ぐで。

付き合っていれば不思議なことではなくて。



「俺ん家に来ない? 親いないしさ……だから、えーっと」

「それって」

「……うん、俺、紗夜香としたいなって」



確実に時は流れている。

私たちの関係も少しずつ変わっていく。

それは当たり前の流れなんだ。



「しっ、したいって。直球すぎだよ颯平……」

「あっ、やっぱ今のナシ。悪い、忘れて」



慌てて大きな声になる颯平を、見上げて思う。

これからも一緒にいるなら、これがきっと自然な流れなんだと。


繰り返されるキスと深く激しくなっていくキスに、少しずつ免疫がついていった。

私に触れるその手つきは、いつもその先を予感させていた。


怖いだとか考えられないとか思っていたはずだけど、いつの間にか私の頭の中にあったのかも知れない。

近いうちに颯平とそういうことをするって。



「明日、家行くから」



手を伸ばして頬に触れ、目を見開いた颯平に向かって微笑む。

外灯に照らされた顔は真っ赤で、ほんのりと熱を帯びていた。