山の中で山を忘れた

私にもそんな時期があった
なんで登っているのかが分からない
なにをしに山に行くんだ?
高校の山岳競技をやっていた時のことである
(これをきっかけに競技否定派となる)
私と同期のやつらは高校卒業後は山を辞めてしまった

ちょうどその頃、祖父が亡くなった
亡くなった後に判明したが、山岳協会にも入っていてかなりのクライマーだったそうだ。
遺品からハーケンやオーバーシューズが出てきた

遺品の本や葬式の時に親戚から貰ったガストン・レビュファの本を読んで思った
私が今までやっていた登山なんて全然ちっぽけなものじゃないか
山は勝つ、負けるの競技じゃない
自分が登りたいから、楽しいからやるものじゃないのか?

3年の時、県大会では3位だったのでインターハイには行けなかった
正直行くことは望んでなかった

夏休み、普通なら課外授業に行くところであるが
私はほとんど行かなかった
ほとんど山に行っていたからである
そして顧問の先生にこう頼んだ
「北アルプスに行きたいんです。一緒に行きませんか」

その顧問の先生は教師ながら反面教師ではあったが、良い先生で、
一緒に行こうと言ってくれた
今では仲間の1人である

長野県の穂高連峰、3000mを超す山々
全てが衝撃的だった
「わたしがやりたかったのはこれだ」

山の本当の楽しさ、素晴らしさに気づいた時であった