「いらっしゃいませー」


ふらっと訪れたのは、見慣れたファッションビル。
レンタル彼氏を辞めた後、俺は都内に住んでいた。

それも高層ビルが並ぶような場所に。


いや、俺は高層ビルに住んでるわけじゃないけど。
10階ほどのマンションに住んでいる。
そこの大家さんが白井さん。

本当にほわわんとしたおばあちゃんなんだけどね。


ファッションビルは今日も人で溢れている。


この街は夜と昼とで全く見せる顔が違う。
昼はこのファッションビルに向かう人で溢れている。
夜はクラブへ向かう人達や、外国人で溢れている。

水商売の女も多いかもしれない。


何を目当てで来ているわけではないけど、ふらりと店をうろつく。

そこへ上品に客寄せの言葉をかける店員。
俺はそれに無愛想に対応すると、興味をなくしたかの如く他の客へと向かう。
結局、人は自分に利益のある人にしか、興味を示さないものなのだ。


そこで見つけたのは。

今日、女が忘れたピアスと同じ石で出来たネックレスだった。