愛は情事を終えた後、下着のままタバコを吸うと静かに煙を吐き出した。


こう言う時、男の方がタバコを吸ってそうだけど。
生憎、俺はタバコを吸わない。

理由はない。
だって、吸う理由がない。


「で、言い訳聞かせてもらおうかな」


愛はタバコを左手に持ちながら俺に含んだ笑いを見せてそう、尋ねた。


黒髪を上品に緩く巻いた愛。
肌は透明感があって、ぷっくりピンク色した唇。

見た目はモテル要素ばかり。
それに金持ちの令嬢。


きっと、男は放っておかないはず。
なのに。

どうして、俺に拘るんだろうか。


「愛海は…、ナンパされて、数回ヤッただけの女」

「ふうん、愛海って子は千里の事好きそうだったけど」

「ああ、好きみたいだ」

「へえ。云われたの?」


愛は俺の返しに楽しそうに笑う。
こんな時に、笑ってしまう愛が俺を必要としているのかが分からない。

それに昼はあんなに怒ったのに、今は全くだ。


でも、俺が他の女と関係を持ってるだなんて…。
レンタル彼氏をしてた時から知ってたなら当然の事。