「千里ー?」


リビングから聞こえる声に愛海は固まった。
それから、愛がこっちに向かうのが見える。

そして、俺と愛海を見て愛の顔が見る見るうちに険しくなっていく。


「……何でこの女がいるの」


それは俺が聞きてえ。
昼間に修羅場になったばかりだっつーのに。

夜まで修羅場か。
それは少し勘弁だ。


「愛、きちんと話す。
愛海…悪い。お前は帰れ」

「え?」


愛海は俺の顔を見たが、うまく事態が把握できていないようだ。
訳が分からないと言った具合で俺を見てる。


「愛海、帰れ。邪魔だ」

「!!!」


その言葉に目を見開くと、愛海は部屋の中に走って入ってカバンを取る。
そして、部屋から出て行った。

通り際。
俺の顔を泣きそうな顔で睨みつけながら。


はあ、と溜息をつくと俺は改めて部屋の中に入った。


「千里、あの子は何」


少し笑みを浮かべて話す愛が不気味だ。


「ただのヤリ友」

「そう?そうには見えなかったけど?」

「どう思われてもいいよ。どうせ信じないだろ?」

「ふふ、そうね。
別にいいわ。まずは私を満足させて。
そして、たっぷり話聞いてあげる」


そして、愛はするりと淡いピンク色したシャツを脱ぐと俺に絡みついた。

俺はそんな気分でもなかったんだけど。
でも、仕方ない。

俺はそういう人間でなければならない。