―――――――……


カタンっ、カチャカチャ。
玄関の鍵を開ける音がする。


薄らと目を開けて、俺は玄関の方へと視線を向けた。



扉を開けたそいつは、俺を見ると満面の笑みを見せる。


「千里!お待たせ!」


鍵を締めると、乱暴にヒールを脱ぎ捨てて俺の元へと走り寄った。
どすんっと、俺の体の上に乗っかって抱きついてくる。


「……重い」

「はあ!?会いたいってしおらしく言うから、急いで終わらせたのに!」


がばっと起き上がると、愛は眉を吊り上げて怒りだした。
それにふふっと笑う俺に更に怒る愛。


「悪い悪い」

背中を向けている愛を後ろから抱き締める。
ぎゅうっと愛の温もりを感じて、どうしようもない安心感で満たされていた。


「…愛に会いたかったよ」

「……本当?」

「ああ、本当」


愛はくるっと、俺の方に身体を向ける。
それから、俺の背中に腕を回した。


「何があったのか聞こうかと思ったけど、まずは…」

そう言いながら、俺の洋服の中へと手を潜り込ませる。


「…ね?」


何が、ね?だ。
にっこり笑いながら俺を求める愛に苦笑しながら、俺は愛にそっと口付けをした。