「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「……」

母親の目の前に正座すると、俺はお線香をあげた。


手を合わせて、目を閉じる。


……おふくろ。
ごめんな、一生謝っても足りない。

全部嘘だったなんて知ったら、きっとおふくろ自分を責めるだろうから。
だから、俺はその嘘を死んでも貫くよ。

誰に嫌われてもいい。
どうであれ、俺が選んでしまった道だったし。

西園寺をもう、とやかく言うつもりもない。
許せないし、もしも会えるなら一発殴りたい気持ちもある。


でも。

…おふくろが俺を愛していたって事がわかったから。


誰にも愛されてないと思ってた。
愛なんて、わからなかった。

独りだと思ってた。
孤独だと思ってた。


だけど、実際は違ってたんだ。


母親は俺を昔と変わらず愛していた。


俺と会えない悔しさを、この男の人といる事で紛らわせる事が出来たかな。
幸せを感じる事が出来たかな。


最低な息子で、ごめん。
これからも最低な息子でいる事を選んでごめん。





俺、おふくろの子供でよかった。






目を開けて、ゆっくりと立ち上がる。


「……ありがとうございました」


それだけ男の人に告げて、頭を下げた。
もう何も俺に話しかけてはくれなかったけども。