「文子さんがもしも君が訪れる事があったら、絶対優しくしてくれって言ってたから…。
だから、僕は君に会ったら優しくしようと思ってた。
借金したお金を自分には支払う事が出来ないからって、手放してしまった事をずっと後悔してた。
それに君が怒りを感じてしまうのはわかる。
だけど、…だけど…。
……すまない、これを持ってもう二度とここには来ないでくれないか」
その男は途方もない怒りをぶつける事も出来ないのか、悔しそうに唇を噛み締める。
手渡されたのは通帳と印鑑。
そこには俺の名前。
きっと、俺が小さい時にでも作ったんだろう。
「……大切なお金だ。大事に使ってくれ」
「…はい。…あの、無理なお願いなのはわかってます」
「……」
「母親にお線香あげられないですか」
眉を顰めていた男はその顔のまま、
「………こっちだ」
そう言って俺を隣の部屋へと案内してくれた。
綺麗に畳まれた布団の奥に、仏壇がある。
そこで俺の母親は優しく微笑んでいた。
毎日きちんとお供え物をしているんだって、見るからにわかる。
隣の部屋は物が散乱していたのに。
埃だってかぶっていない。
それだけで、この男の人がどれだけ母親を愛していたのかがわかった。
だから、僕は君に会ったら優しくしようと思ってた。
借金したお金を自分には支払う事が出来ないからって、手放してしまった事をずっと後悔してた。
それに君が怒りを感じてしまうのはわかる。
だけど、…だけど…。
……すまない、これを持ってもう二度とここには来ないでくれないか」
その男は途方もない怒りをぶつける事も出来ないのか、悔しそうに唇を噛み締める。
手渡されたのは通帳と印鑑。
そこには俺の名前。
きっと、俺が小さい時にでも作ったんだろう。
「……大切なお金だ。大事に使ってくれ」
「…はい。…あの、無理なお願いなのはわかってます」
「……」
「母親にお線香あげられないですか」
眉を顰めていた男はその顔のまま、
「………こっちだ」
そう言って俺を隣の部屋へと案内してくれた。
綺麗に畳まれた布団の奥に、仏壇がある。
そこで俺の母親は優しく微笑んでいた。
毎日きちんとお供え物をしているんだって、見るからにわかる。
隣の部屋は物が散乱していたのに。
埃だってかぶっていない。
それだけで、この男の人がどれだけ母親を愛していたのかがわかった。



