「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

やられた。
まんまと。


西園寺は俺が借金したってでまかせを母親に言ったんだ。
それを鵜呑みにした母親は俺を助ける為に、この誓約書にサインしたんだ。

母親はその時、1000万と引き換えに俺との未来を失った。

母親の手元にもちろん1000万はない。
何故なら俺の借金として支払われているから。


1000万で俺を売っただなんて。

西園寺、よくもそんな事を。


うちに金がなかったのをいい事に、そんな嘘。
きっと、このままだと俺の身が危ないだなんて吹っ掛けたんだろう。


自分が我慢さえすれば…俺が助かる。


レンタル彼氏なんて数年しかやってなかったのに。
会おうと思えば会えたのに。

律儀に守ってやがったのか。


誓約書を持つ手に力が入る。
ぐちゃぐちゃになる紙。


「…俺が借金したのは遊びたかったからです」

「遊びたかった…って、言ってもそんな大金」

「何に使ったかはよく覚えてません、でも、借金はいつの間にかふくらんでて、首が回らなくなったんです」

「ふざけるな!!
たった一人の息子に会いたくても会えなかった辛さが君にわかるのか!
文子さん…は、最期まで、君に…会いたかったって…」

「………母親は亡くなったんですか」

「去年にな」

「……そうですか」