「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「俺の母親は俺を金で売った」

「……」

「そんな母親が言った事なんて信じられない」

「それは、違うだろう」

「何が違うっていうんですか」

「…これを見てくれないか?」


そう言うと、男は写真があった引き出しから封筒を取りだした。
そこには。


【千里へ】


見慣れた母親の字で、俺の名前が記されてあった。


「………」


無言で受け取ると、中に入ってる紙を出す。
その紙を広げて、俺は言葉を失った。


「僕はその中は見ていない。
文子さんから預かったモノなんだ」


そう言う男の言葉なんて耳に入らない。



…誓約書。
これは西園寺がきっと書いたであろう、誓約書。


・乙は長城千里に生涯を終えるまで会ってはならない。
例え街で見かけても声をかけてはならない。

・乙は長城千里に関する物は全て処分しなくてはならない。

そういった類の内容がずらずらと書かれている。
最後に署名する欄があって、そこには母親の名前と母印。


日付は俺がレンタル彼氏に入った日。


「…西園寺」


【尚、この契約を破った場合、長城千里には何らかの処分を与えます。】


その一文を見て、改めて西園寺を憎いと思った。
握る手に力が入る。