「あの、どちら様でしょうか」
その男は俺にそう尋ねる。
いや、こっちが聞きたい。
「…白井さんから、ここに来いって。
俺の名前は長城千里です」
「ち、さと?」
俺の名前を聞いた男は目を真ん丸にしている。
何、俺の事知っているわけ?
「本当に…千里君?」
「…はあ、ええまあ」
その男は俺が千里かって事を再確認すると、俺の全身を何度も見ていた。
訝しげな顔をしてる俺に気付いたのか、ハッとした男はバツが悪そうに俯く。
それから
「ここじゃあ、なんなんで…家に上がって」
そう部屋に入る様に促した。
「……」
不信感があったけど、あの白井さんが会えって言うんだから悪い態度は取れない。
渋々ながら、家へと上がる。
中も外観と相違なく、男の一人暮らしって感じだった。
「汚くてごめんね、まさか来てくれると思ってなかったから」
「………」
少し散らかった部屋を片付けながら、その男は座布団を敷いてくれる。
その上に無言で俺は座った。



