「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

一緒にいる事が、お互い都合良かっただけのはずなのに。
ちょうどお互いの隙間を埋める存在のだけだったはずなのに。


利用して、利用されて。
そんな関係だからこそ、愛と一緒にいると思ってたから。


「…千里の、愛の告白。悪くない」


ニヤリと含んだ笑いを見せると、愛は俺の首元へと腕を回す。
俺の腕も自然と愛の背中へと回った。



好きとか。
愛してるだとか。


そんな言葉ほど、不確かなモノはなくて。


その言葉を信じて鵜呑みにして、踊らされるのならば。

なくたっていい。

一生、愛の言葉なんて囁かなくたっていい。



ただ、俺の側に愛がいるのなら。




俺は“愛”を知りたかった。


“愛”とはどういうものなのか。
それを教えて欲しかった。


誰も教えられなかった。