「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「レンタル彼氏をしてる時は、風太を忘れたいが為に何度も利用したけどね。
途中から、風太なんかどうでもよくって。
でなきゃ、レンタル彼氏がなくなった後も千里と一緒にいないでしょ?」

「……」

「他に好きな男出来るまで、千里といればいっかーなんて、すっごい軽く考えてたんだけどさ。
なんだろ、千里ってさ。
いーーー男なんだよね」

「……は?」


何だ、それ。


俺の頬に当てていた手を自分の口元へと持っていくと

「逆に千里がいるから、私に好きな人が出来なかったのかも…?」

だなんて、呟いている。


「………」


本当に、愛は。



「ははっ、どうしようもねえ」

髪の毛を掻き上げながら、俺は声を上げて笑った。
少しムッとした愛は、口を尖らせる。


「責任取ってもらうからね」

「責任?」

「うん、これからもずっと一緒にいて貰うから」

「何それ」

「逆プロポーズ」

「ははは、あり得ない」

「まあ、答えなんて聞かなくてもわかってるけど」

「ふうん?」


ぷいっとする愛に、俺は右の口角を上げてからかうように言う。