「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「これが…、好きって事なら。
私は千里が好きなのかもしれない」



“好きって何だ”

“千里、私も分からない”

“分かってたら…
きっと、私は千里と一緒にいないわ”


「愛は俺を好きじゃないよ」

「あら、どうして?」

「俺が都合よく抱いてくれるから。
だから、好きだって錯覚してるんだ」

「でも、千里は一人になんてなれないでしょう?」

「…俺には、元々誰もいない」

「私がいるじゃない」

「それは都合いい男だから。
それに、愛には風太以上がいないだけなんだろ?」

「……彼はとっくの昔に忘れた」

「嘘だろ」

「ううん、本当よ。千里」


体を俺の方へと向けて、愛は左手で俺の頬をそっと撫でた。


「私はずっと、好きってわからなかった。
千里の事は好きになんてならないだろうって思ってた。
でもね、離れてる間、ふとした瞬間…千里が何度も浮かんできてさ。
お土産考えてる時なんか、凄く嬉しくって」


本当に。

愛は、本当に嬉しそうに笑っていた。



「ああ、私。
千里がいないとダメなのかもーって思った」


そう言って、目を細める愛。