「……………」


恐怖すら感じる。
この男は何を知っているんだ。


俺の隣にいる聖に目を移すと同じ様に西園寺は話す。


「聖、探したい人がいるんじゃなかったのか?
その為には金が必要だろう」

「……………」


聖も俺達同様に黙って、俯く。
最後に西園寺は伊織を見た。


「…伊織。
お前に帰る家はないだろう。
全て上と話をしたのは、この私だ」

「っ?!」


明らかに変わった伊織の顔。
さっきまであんなに涼しい顔していたのに。


とにかく、分かった事は…。
俺はとんでもない事に巻き込まれてしまったってことだけだ。


西園寺は一度息をつくと、俺達の後ろにいたぽっちゃりした男に声をかける。


「お前達に拒否権はない。
佐々木、呼べ」


それから佐々木はどこかに携帯で電話をかけていた。
顔色は優れぬまま。

数分後、玄関の扉が開く音と共に雪崩の様に部屋に流れ込んで来たのはガタイのいい男達。


その男達に俺達は羽交い絞めにされた。