―――――――――……





「…夢かよ」



目を開けた俺はぼーっと天井を眺めながら呟いた。
レンタル彼氏を始めてからというもの、何故かくるみを思い出す事が多くなった。



あの日。
確かに心の奥底に封印したはずなのに。


くるみはいつだって、俺の中で綺麗に輝いていたのに。
あの日に真っ黒にされたんだ。


今日は女からの呼び出しもなく、一日暇だ。
だから、昼過ぎまで寝てやろうと思ってたのに。

どうして、こんな日に限ってくるみの夢を見るんだ。



何もする事がないと言う事は、それで思考が埋め尽くされると言う事なのに。


体を起こすと、ベッド横にある時計に視線を移す。
まだ朝の七時。

小鳥のさえずりなんか聞こえてきて。
普通なら気持ちいい朝なはずなのに。


髪の毛を一度わしゃわしゃと乱してから俺は立ち上がってキッチンへと向かう。
冷蔵庫を開けると、ミネラルウォーターのペットボトルを一本取り出してゴクゴクと飲み込んだ。