「愛」 -レンタル彼氏-【完結】


「くるみ」

「なあに」

「俺のおふくろも離婚してる」

「うん」


額のタオルを裏返してあげると、くるみは冷たいのか目を細めた。
それに口角を上げながら、俺は続ける。


「初めてくるみと会った日、家出した日。
なんか、むしゃくしゃしてたんだよな」

「うん」

「帰ったら、おふくろ倒れてたんだよ」


くるみは驚いたのか、目を真ん丸にしてこっちを見た。
そりゃそうだ。
今まで一度もそんな事言った事ない。


「過労、心労。両方な。
そこで俺、おふくろを大事にしようって思ったんだ」


心配そうに俺の顔を窺うくるみの頬を、一撫でする。


「無理はしてない」

「…うん」

「くるみがいて、おふくろも無事で…。
俺にはこれ以上望むモノなんてない」


たかだか、15年生きただけで。
何を言うんだって。
何を偉そうにって。

そう、思うかもしれないけど…俺は。