「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「色々おかしいでしょ。
父親は帰って来ないし。
伯母は私をうっとおしそうに扱うし」




“見放さずに、ずっと育ててくれたんでしょ?
それって愛情がないと…出来ないと思うな”



初めて会った時。
くるみは俺にそう、言っていた。

愛情を受けてないと。
そう感じていたからこその言葉だったんだ。


“…くるみは、愛されてないの?”

その後に、くるみが答えなかった理由も。


「妹の事は大好きだったから、連絡取れなくて悲しかったんだ。
だから、妹から連絡来た時は嬉しかったな」

「……どうして」

「え」


鼻声で、くるみは妹の事を嬉しそうに話す。
それを見て、胸が苦しくなる。


「どうして。
くるみは捻くれないんだ。
そんな優しいんだ」

「……優しくなんかないよ」

「優しい」


くるみのその、優しさに俺は心を許してしまったのだから。