「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

「…酷い熱。
ちょっと待ってろ、タオルでも持ってくる」


そう言って立ち上がろうとした俺の洋服をくるみは掴むと、

「……ごめ、んね」

鼻にかかった声で泣きそうな顔をして言う。


そんなくるみの前にしゃがみ込んで、目線を合わせるとそっと抱き寄せた。
髪の毛を撫でて、くしゃっとする。


「俺こそ…ごめん。
一人で辛かったんだな」


何で言わないんだよって思ったけど、でもそれは言わない。
くるみを信じててよかったって事に、酷く安堵したから。


くるみが裏切るわけなんてないって。
それにただ、安心したから。


それだけで充分だ。



濡れタオルで頭を冷やしてから、簡単にお粥でも作ってやった。
食欲あるか心配だったけど、くるみはちゃんと完食した。

俺がお粥を作れる事に少し感動していたけど、そのぐらい作れるわ。


空いた器をシンクに置いてから、俺はくるみの側に座って手を握ると髪の毛を撫でた。