「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

じゃあ、何で遅くなったんだ。
いつもと同じなら、いつもと同じ様に連絡して来いよ。

この一年半、変わらずそうして来たのに。
どうして、今日、急にそんな事するんだよ。


納得出来ない答えに、俺は苛立ちを止められずにいた。
どれだけ心配したと思ってんだ。


「もう、いい…」

「え?」

「今日はいいわ、切る」

「ちょっと、待っ…」


くるみの言葉を聞く事なく、俺は強引に通話を終了させた。
それから何度も携帯が震えるのを見たけど、俺がそれを確認する事なんてなかった。


明日はくるみとのデート。
土曜日。

楽しみにしていたのに。


それから、風呂に入って早々に布団へ向かおうとした。
寝る間際、チカチカ光る携帯を確認しようか迷ったけど、今日は止めようと決めて眠りに就いた。


明日、楽しくデート出来るかわからない。
だけど、何もかもを許して笑おう。

そうしよう。


翌朝。
いつもより早く目覚めた俺はいの一番に携帯を手に取った。

着信17件。
メール9通。


一つ一つ見て行く。
着信もメールも全てくるみ。