「愛」 -レンタル彼氏-【完結】

生きていくのに大切なのは「お金」なんかじゃない。
だなんて、綺麗事。
お金に困ってない人が言える言葉だ。

切実にお金が欲しかった。

その為に寝る間も惜しんで働いている。
だから、西園寺康弘の誘いは正直、魅力的なものではあった。


ホストでもなく、女の相手をするってなんだ?
全く見当つかない。


それから日曜まではあっという間だった。


一緒に暮らしている母親には何も言わずに俺はいつもの様に、バイトとだけ告げて家を出た。
本当に、いつもの様に。

これが母親と交わした最後の言葉になるとは思わずに。


「……ここか」


地図に描かれた通りの場所へと、俺は歩き進める。
原付は置いてきた。
家からそんな遠くなかったし、歩ける距離だった。


それにしても、でけえマンション。