「え」
真っ直ぐ、俺から視線を逸らす事無く彼女は俺へと一歩一歩近付く。
「………」
目の前まで来てもなお、俺の事を見つめる。
「ねえ、この人、君の知り合い?
放っておいて、俺と出かけようよ。奢るよ」
「黙ってくれないかな」
「え?」
初めて発した彼女の声は。
とても凛としていて、俺は言葉が出なかった。
「うるさいんだけど。ナンパなら他にしてくれる?
私、興味ないから」
俺と、そのナンパ男はその見た目からは想像つかないほどのきつい口調に目を真ん丸にした。
「だから、早く目の前から消えて」
更に彼女がそう言うと、ナンパ男は悪態をつきながら去って行った。
まだ、唖然として口が塞がらない俺。
そんな俺に再度、彼女は視線を戻す。
それから、ニコっと笑った。
その笑顔に、不覚にもドキリとしてしまう俺。



