客の美沙都が起きたのか、俺は再度顔をタオルで拭うと美沙都の元へと戻る。
美沙都ははだけたまま、眠そうに目をこすっていた。

それから、ベッドから抜け出ると軽く伸びをして、着崩れた浴衣を直す。

肌が見えているにも関わらず、そんな姿にも一切欲情しない俺。
男として、どうかしてる。


美沙都は俺に絡みつくと、

「ねえ、好きって言って?」

そう、猫なで声を出した。


どうして、言葉が欲しいのだろうか。



美沙都の腰に手を回すと、俺はわざとらしく口角を上げる。
そして目を細めて、甘い声で囁く。


「好きだよ。好きだ」


嬉しそうに微笑む美沙都とは対照的に、冷めていく心。



なあ。
好きって、なんだ?