超能力的生徒会 in 蝶野学園

「長くなるけど良い?」

「はい」

「わかったわ。杏樹が許した相手だもの。いいはず。

あれは約7年前...

『お姉ちゃん。私、公園に忘れ物したから取ってきても良い?』
『いいわよ。でも一人で大丈夫?』
『うん。大丈夫』

そういって彼女は走り出した。

この頃の私はこれから大変な事に妹が巻き込まれるのを知らなかった。

それから1時間後。
杏樹は公園から帰って来なかった。
私は塾があったから早く帰らなければならなかったから、妹を一人で行かせてしまった。

『ただいま~』

私は塾が終わってすぐに帰った。
ドタドタドタ!!

『杏奈!杏樹は?』
『杏樹?杏樹なら先に帰って来たはずじゃ?』
『それがまだ帰ってこないのよ!』

帰って...来ない?
どうして?
あんなに元気な姿で走っていた彼女が家出?

『でも、家出じゃないわ。だって杏樹は賢いから荷物やお金を持っていくはずだもの』
『そうね。お母さん。じゃあ杏樹は誘拐されたとか?』

じつは最近、アビの能力者が誘拐されているらしく、心配していた。
ついに杏樹まで誘拐されたの!?

でも、でもっ!
杏樹は姉の私よりも強力な声フェロモンのアビ。
だからそう簡単には誘拐されないはず。
って事はアビの持ち主の犯行って事ね。

『どうしましょう杏奈!!』
『お母さん。まずは月ノ宮家に電話をしましょう。彼らはアビの持ち主の存在をすべて知っているはずだから』
『そうね』

しかし、
捜査はあまり上手くいかずに、
4年間の歳月を必要とした。
母はショックで倒れ、他界。

父は母の死で女遊びに走った。

杏樹がいなくなっただけでこのあり様だった。
私は全てを失いかけた。
だからこそ杏樹を必死に探した。

でも、杏樹が見つかったのは、

火事で焼けた研究所の近くだった。